ゲストと聞き手の著書および推薦書を出版社から献本いただき、割引価格で販売する「本のポトラック」を終了後に開催、完売しました!
この売り上げ金なくしては、寄付金をお送りすることも、ポトラックを運営つづけることも出来ません。ご協力いただきました以下の出版社に深く感謝申し上げます。
赤々舎・亜紀書房・岩波書店・月曜社・幻戯書房・講談社・集英社・小学館・新潮社・人文書院・青幻社・夕書房・T&M Projects・中央公論新社・白水社・ビレッジプレス・美術出版社・平凡社・港の人
出版社から献本いただいた本を販売する「本のポトラック」を、終了後に開催
*販売をお手伝いいただいた黒田玲子さん、木村みずきさん、椿昌道さん、ありがとうございました。
今回の寄付金は「みやぎ民話の会」にお送りいたしました。
清水チナツさんに代読いただいた、以下に小野和子さんからのメッセージを掲載いたします。「ポトラック」の核に触れるすばらしい内容でした。
「宮城みんわの会」代表、小野和子さんの挨拶文を代読する清水チナツさん
◎「みやぎ民話の会」代表・小野和子さんからのメッセージ
《ご挨拶にかえて》 小野和子
あの世からのメッセージ
三十年余り前になるが石巻市雄勝湾の小さな浜で年老いた漁師さんに会った。いくつか聞かせてもらった浜の民話の合間に、召集をうけて赴いたガダルカナル島での、おそろしい飢餓の様子も語ってもらった。自分が奇跡的に生還できたのは、曽祖母が毎晩夢に現れて、あんこ餅を食わせてくれたおかげだと言う。そして、「だれもこの話を信じない」と嘆かれた。そうだろう。だが、わたしは漁師さんを支えたこの「物語」に強く惹かれて会うたびに語ってもらった。
浜は、あの東日本大震災の津波で完膚なきまでにやられた。
震災からしばらくしたある日、わたしは久しぶりに浜を訪れた。そこで開かれた小さな集会で話をさせてもらった。
話が終わったとき、中年の男性が寄ってこられ「○○の息子です」と、亡き漁師さんの名前をあげられた。天地がひっくり返るほど驚いた。その朝、獲ったというウニをいっぱい手にしておられた。「津波ですべて流された」と言い、今は浜を離れての暮らしだと語られた。驚きはこれだけでなかった。中年の女性が近寄ってこられた。「岩崎としゑの末娘です」と言われる。ああ、なんということだろうか。岩崎としゑさんは作家松谷みよ子氏の名著『女川・雄勝の民話』(国土社)の話者である。わたしもお訪ねしてよく民話を聞かせてもらった。「みんな流されて母の本もありません」と言う。手にしていた松谷氏の本を渡すと、涙を拭いて何度も表紙を撫でられた。
かつて、わたしにその語りを聞かせてくださった方の息子さん、そして娘さん。わたしたちは初対面だった。が、波の音を聞きながら、ただ黙ってしっかりと手を握り合った。「物語」がわたしたちを繋いでいることをひしひしと感じながら。そして、あの世からの強い強いメッセージを感じながら。
今回、いただいたみなさまからの資金は、あの世から連綿と続く先祖の言葉を記録するために大切に使わせていただきます。
ほんとうにありがとうございました。