「ことばのポトラックvol.1」 絶賛発売中!

2011年3月11日に起きた東日本大震災から16日後の3月27日、大竹昭子の呼びかけで、サラヴァ東京(東京/渋谷)にてスタートしたことばを持ち寄るこころみ。第一回目には13人の詩人と作家たちが参加して感動的な会になりました。( potluck = 「持ち寄る」)

2026年3月6日金曜日

【ことばのポトラック vol.18】
 4月3日(金)に開催決定!

    ご予約満席となりました。ありがとうございました。

「第18回 ことばのポトラック」を、来たる4月3日(金)に開催します。

「ことばのポトラック」は10年継続して2023年に年間行事としての役を終えましたが、やりたいという気持になったときにはいつでも再開しようと思っていたところ、今年になって急にその気持が芽生えました。友人が個人出版する本を手伝ったことが理由です。その編集作業をしながら、単行本『ことばのポトラック』を作ったときのことがしきりに思い出され、また「ことばのポトラック」をしよう、そして精神科医の宮地尚子さんをゲストにお呼びしよう、とイメージが膨らんでいきました。
 この本の著者は元教師で、切羽詰まった気持で映画「『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち」の自主上映会に挑みます。なぜそこまでしたかは本を読んでいただくとして、トラウマの専門家である宮地さんとは、本書の著者にとっての大震災、宮地さんご自身の、そして臨床医の立場から関わられた大震災などに触れながら、この未曾有の経験がわたしたちにもたらしたものを掘り下げようと思います(大竹昭子)

開催日時 2026年4月3日(金)18:30開場 19:00開演 20:30終演(予定)
会場   iwao gallery イワオ ギャラリー
     https://iwaogallery.jp
アクセス 東京都台東区蔵前2-1-27 2F (御蔵前通り)
     https://maps.app.goo.gl/YCiHdW6dEfU4V6Mv9
     [最寄り駅]
      都営浅草線 蔵前駅 A1b出口徒歩1分
      都営大江戸線 蔵前駅 A6出口徒歩7分

ゲスト  宮地尚子
司会進行 大竹昭子

参加料金 2,000円
※藤原貞子 著『「生きる」逗子上映会がわたしに教えてくれたこと』
(定価:1,500円)付/本の詳細については → https://x.gd/mbMST

▶︎ご予約方法
  メール予約(定員30名/当日現金にてご精算)
「参加ご希望人数/氏名(参加者全員分)/代表者の電話番号」を明記の上、下記アドレスへお申込みください。
kotobanopotoluck@gmail.com (ことばのポトラック運営事務局宛)
※事務局からの返信を持って予約完了とさせていただきます。
※参加料金のお支払いは現金のみとなりますのでご了承ください。
※イベントに関するお問い合わせもこちらへお願いいたします。

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【登壇者プロフィール】

宮地尚子(みやじなおこ)
一橋大学大学院社会学研究科特任教授。精神科医でありトラウマとジェンダーの研究の第一人者で、臨床をおこないつつ研究と執筆活動をつづけている。すぐれた文章の書き手で、『傷を愛せるか 』(ちくま文庫)はコロナ渦において多くの読者に励ましを与えた。ほかに『傷のあわい』『トラウマ』『ははがうまれる』『環状島=トラウマの地政学』『傷つきのこころ学』(NHK出版)などがある。

大竹昭子(おおたけあきこ)
小説、エッセイ、ノンフィクション、写真関係などジャンルを横断して執筆している。2011年、大震災の2週間後に作家仲間に呼びかけて「ことばのポトラック」を開催、10年間つづけた。写真家やアーティストのインタビューも多数手がけ、その成果をリトルプレス「カタリココ文庫」として刊行中。著書に『間取りと妄想』『出来事と写真』『いつもだれかが見ている』『迷走写真館へようこそ』など。

2026年3月5日木曜日

藤原貞子 著『「生きる」逗子上映会がわたしに教えてくれたこと』

 藤原貞子 著『「生きる」逗子上映会がわたしに教えてくれたこと』
 【2冊組】●本冊(左):B6判112頁 / ●別冊(右):B6判28頁
  ・定価 1,500円(税込)/個人出版

2024年の夏、元教師の女性が500人以上の観客を集めて、映画の上映会を成功させた!

 著者の藤原貞子は神奈川県横須賀市に住む80代です。大学卒業後から定年退職まで教師一筋の人生を送ってきました。
 そんな彼女がある日、映画『「生きる」 大川小学校 津波裁判を闘った人たち』を観て衝撃を受け、 自ら上映会を企画し、500席以上のホールを満杯に!本書は、その上映会前後の約2年にわたる活動の日々を綴ったものです。

 著者に上映会の経験はなし。パソコン、スマホなどのデジタル機器はてんで苦手な超アナログ派。考えうる宣伝方法はもっぱら「口」だけ。それでもこの映画を大勢の人に届けたいという強い意志のもとに動きはじめると、その熱意はどんどん彼女の周囲に伝播し、様々な協力者があらわれ、誰も予想しなかった結果を迎えました。
 この一見無謀な行動の根源には、彼女が若き日に体験した学校事故の辛い記憶と、今も繋がりのある元教え子たちの存在、なかでもある生徒への強い想いがありました……。

 今年は東日本大震災から15年という節目の年に当たります。この間、震災被害に関する様々な記録物が世に出ましたが、本書の特徴は元教師の視点からこの大きな出来事を見直している点です。
 「退職して20年がたっても未だ学校のことが気になってしょうがないし、教師としての自分を振り返らずにいられない」と述べる著者。
 教師時代にやり残した「宿題」に真摯にとり組む彼女の姿は、多くの人を勇気づけるでしょう。

 なお本書は2冊組になっており、本冊には上映会までの日々と大川小学校の訪問が綴られ、別冊には協力者のことばや観客のアンケートなどが収録されています。人びとの声が多重的に響き合うよう構成されたこの15年を振り返るに相応しい内容です。

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▪️著者プロフィール:藤原貞子(ふじわら・ていこ)
1944 年、横須賀市に4人兄弟の3番目として生まれる。横須賀、逗子などを生活圏とし、海から離れずに暮らしてきた。1967 年、横浜国立大字教育学部数学科を卒業、陸上自衛隊少年工科学校に数学科教官として赴任。1970 年から 2005 年まで横浜市立中学校5校、その後定時制高校を含む非常勤3校と、合計9校で教壇に立った。趣味は大学時代に始めたテニス。ほかにも坐禅会、茶道、お絵描き教室などに日々忙しく飛びまわっている。
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★本書についての問い合わせや、著者への取材の申込みは以下にご連絡ください。
kotobanopotoluck@gmail.com

担当:荒井晶子

2024年3月10日日曜日

【記録映像公開】ことばのポトラック vol.17 藍ではじめる~福島県大玉村の試み_2023年3月21日@神保町 ブックカフェ二十世紀

2023年3月26日におこなった第17回「ことばのポトラック」の映像を公開いたしました。 1年ぶりに映像を観て、改めていい集いだったなあと(手前みそながら!)感銘いたしました。登壇いただいたのは、福島県大玉村で<歓藍社>の活動をしている、農家の野内彦太郎さん、3.11以降の地域学を放射能専門の立場から考える林剛平さん、建築家の佐藤研吾さんの3人です。 野内さんは、農家の長男として土地を守る使命を負って生まれました。若いときは他の生き方に憧れもしましたが、大玉村を離れずに暮しつづけ、間もなく92歳を迎えます。野内さんのすばらしさは、科学的思考と人文的な発想がうまく統合されている点です。アイデアマンで、実験精神にあふれ、実行力があるのです。林さんと佐藤さんはそこに魅了されて移り住みました。 <歓藍社>では畑で藍を育て、その染料で藍染め製品を作り、人々が知力を持ち寄り実験する場を作っています。未来の希望は人と人が出会う美しさのなかにある、そう実感させられたトークでした。ぜひご覧ください! (2024.3.11) 大竹昭子

2023年6月10日土曜日

TOKYO FM『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』にて『ことばのポトラックVol.17』が紹介されます。

TOKYO FMのラジオ番組『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』にて、今年3月21日に開催された第17回『ことばのポトラック/藍ではじめる~福島県大玉村の試み』の様子が紹介されます。radikoでも聴取可能ですのでぜひお聴きください!

【放送局】TOKYO FM
【放送日時】 2023年6月11日(日)04:30 - 05:00 AM
     (※6月10日(土)28:30 - 29:00)
【出演】田中美登里 ゲスト:大竹昭子(文筆家)
【テーマ】大竹昭子の“ことばのポトラック”&“カタリココ”
【その他の聴取方法】
▶︎radiko
 トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ | TOKYO FM |
 2023/06/10/土 28:30-29:00
 https://radiko.jp/share/?sid=FMT&t=20230611043000
 ※首都圏の方:タイムフリー/1週間以内なら、再生開始後24時間以内
  /合計3時間の聴取可能。
 ※首都圏以外の方:radikoプレミアム(有料)加入で聴取可能。
▶︎K-MIX(FM静岡)
 静岡地区にお住まいの方は以下でも聴取可能。
 6月11日(日)04:00~04:30 K-MIX(FM静岡)
 (※6月10日(土)28:00 - 28:30)
 http://radiko.jp/share/?sid=K-MIX&t=20230611040000
▶︎MUSICBIRD 124ch THE AUDIO【Premium】
 6月11日(日)00:00~01:00
 (※6月10日(土)24:00 - 25:00)
 https://musicbird.jp/channel/124ch-the-audio/

【放送内容】(MUSIC BIRD オフィシャルサイトより)
https://musicbird.jp/programs/twmw/
1990年の初登場以来、折に触れてご出演いただいている文筆家の大竹昭子さんは座談の名手でもあります。文章を発表してしまったらそれでおしまいではなく、読者や、他の作家やアーティストと直に語り合う場を“カタリココ”としてシリーズ化させてきました。ジャンルを越える好奇心は、写真、美術、建築、街など様々な方向に向かいます。そんな中から、自信で出版するリトルプレス「カタリココ文庫」が生まれ、第1期10作を出版したのに続き、第2期の第1作として『姓がおなじ人 極私的大竹伸朗論』が出版されました。昨年、東京国立近代美術館で行われた「大竹伸朗展」のあと、衝動的といっていいほどの勢いで書き上げられた作品論です。表現者としての共感が熱風のように押し寄せてきます。一方、2011年の東日本大震災の直後に始まった「ことばのポトラック」は、この3月に行われた第17回で一区切り。そこから見えてきたものと併せて、大竹昭子さんの創作を語っていただきます。終わりの時は始まりの時?現在、愛媛県松山市の愛媛県美術館で「大竹伸朗展」を7月2日まで開催中。

2023年3月27日月曜日

第17回「ことばのポトラック」のご報告です。

2023年3月21日の「ことばのポトラック」は参加者の集中度がとても高く、その熱が登壇者の口をなめらかにし、まさに「ことば」を持ち寄る「ポトラック」らしい場になりました。
参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
「ことばを持ち寄る」集いだなんて、成果主義一辺倒の時代には焦点の曖昧なものに見えがちですが、実際には大違いでした。時代の流れに抗するのに新たな問いを立てる必要がある、とだれもが実感しているゆえのエネルギーが会場を包み込んだのです。
主義主張を述べるのではなく、意味を求めるのでもなく、模索しようという意思が確かめられたのでした。
登壇いただいた野内彦太郎さん(90歳)は最後に、「自分が生きる上で心がけてきたのは「美」だ」とおっしゃいました。
このことばには、心底ノックアウトされました。
美しい時間、美しい関係、美しい心……。
美を求めて生きれば、醜いものは寄ってこないはずです。
そして美は固定したものではなく、対象との間に現象するものでもあります。
つまり常に自分のなかの美の基準と照らし合わせている必要がある。
彦太郎さんのお姿を見ていると、その緊張感が生を輝かせていると感じられてなりませんでした。
「倫理」ではなく「美」を求めて生きたい、そう思いました。

「ことばのポトラック」は当初の予定である10年継続を達成し、ひとまずここで役目を終えますが、「ことば」を必要としたらいつでも集まれる自由さを確保しておきたいと思います。 (大竹昭子)
※写真:左からゲスト:佐藤研吾さん、林剛平さん、野内彦太郎さん(以上歓藍社のみなさん)ホスト:大竹昭子、堀江敏幸

2023年3月11日土曜日

宮沢章夫さんを偲んで

昨年(2022年)9月12日に宮沢章夫さんが亡くなられました。
 訃報に接したとき、大変に驚きました。まだ60代でいらっしゃいましたから、まったく思い掛けないことでした。
 宮沢さんとは2015年から2年間、朝日新聞の書評委員会でご一緒しました。独特のユーモアと突拍子もない笑い声の持ち主で、すっかり親しみを抱いてぜひ「ことばのポトラック」に出てくださいとお願いしたのです。
 二つ返事でOKしてくださり、当日は喫茶店にでも入ってくるような調子でぶらっとお見えになりました。2016年5月29日のことです。
 順番がくると、自分は考えたことをいつもiPhoneにメモしているので、そうやって書いたものを読みますとおっしゃり、iPhoneを片手に画面を見ながら読みはじめたのです。
 あたり前の声でしゃべりたい、ふつうの声で話したい、いい声である必要はない、いい声とはなんなのか? 
 声を張ったり、演出したりせず、ふだんの声のまま、つぶやくようにおこなう朗読はかえってインパクトがありました。声と行為と語りの内容が見事に一致していて、彼が言葉というものをどういうレベルでとらえているかがよくわかったのです。
 この映像を見ていると、破顔のあとに一拍おいて放つ彼の笑い声がよみがえってきます。ご縁に感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。(大竹昭子)


※「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」
 ダイジェスト映像より抜粋【2016年5月29日(日)】
 https://youtu.be/j8ngs2hwrzw

※当日のレポートはこちらから
 ▶︎第13回「ことばのポトラック」のご報告です!
 http://katarikoko.blog40.fc2.com/blog-entry-835.html
 ▶︎「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」を終えて
 http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2016/06/2016529-vol13.html

2023年2月26日日曜日

第17回 ことばのポトラックを開催します!


こちらのイベントはご予約満席となりました!ありがとうございました。

【ことばのポトラック vol.17】

「第17回 ことばのポトラック」を来たる3月21日(祝)におこないます。感染症拡大で延期つづきでしたが、ようやく”10年つづけたい”という思いを果たせそうです。 ゲストは福島県大玉村で藍の栽培を中心にジャンルを超えた活動をしている歓藍社のみなさんです。2011年以降、さまざまな問題が爆発し、ともすると不安と無力感に襲われがちな日々ですが、一堂に集まって顔を見せあうことにより、生きる力を確かめあいたいと思います。

開催日時 2023年3月21日(火、祝日)
     15:30開場 16:00開演 18:00終演(予定)
会場   神保町 ブックカフェ二十世紀 (古書店 アットワンダー2階)
     東京都千代田区神田神保町2-5-4 開拓社ビル2階
     (神保町駅A1出口から右手に徒歩30秒!)
     https://goo.gl/maps/qoFLhxq2yuDjcuhJ6
タイトル 「藍ではじめる~福島県大玉村の試み」
参加料金 1,800円(ワンドリンク付き)
ゲスト  歓藍社メンバー:野内彦太郎(農家)
             林剛平(3.11後の地域学、回遊するヒト)
             佐藤研吾(建築家)
司会進行 大竹昭子 堀江敏幸

▶︎ご予約方法 
メール予約(定員35名/当日ご精算)
「参加ご希望人数/氏名(参加者全員分)/代表者の電話番号」を明記の上、下記アドレスへお申込みください。
kotobanopotoluck@gmail.com (ことばのポトラック運営事務局)
イベントに関するお問い合わせもこちらのアドレスまでお願いいたします。

※イベント収益の一部を歓藍社の活動に寄付いたします。

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【歓藍社メンバーが出演したラジオ番組アーカイブ公開中】

2021年3月に放送されたラジオ番組がYouTubeで試聴可能です。リモート出演していただいた歓藍社メンバーが活動する福島県の大玉村の写真と共にアップしました。イベント当日までにぜひご試聴いただきご来場いただけましたら幸いです。

TOKYO FM 『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』
『3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み』
出演:田中美登里
  ゲスト:大竹昭子(文筆家)
リモート出演:歓藍社メンバー/野内彦太郎(農家)、佐藤研吾(建築家)、林剛平(3.11後の地域学、回遊するヒト)

前篇 https://youtu.be/v5he6HY7XKA
(2021年3月7日(日)04:30 - 05:00 放送分)
後篇 https://youtu.be/Nr3P5V67Jks
(2021年3月14日(日)04:30 - 05:00 放送分)

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《歓藍社のはじまり》
大玉村は安達太良山のふもと、福島第一原発から約50kmの位置にあります。 2011年の原発事故直後、地域の放射能汚染を調査していた林剛平さんは地元の農家、野内彦太郎さんと知り合い、今後、この地域でどんな暮らし方がありうるかを考えるうちに、耕作放棄地を活用して藍の栽培と藍染めをすることを思い立ちます。建築家の佐藤研吾さんもそれに賛同し、歓藍社と名付けて活動を開始。いまでは地域の外からもモノづくりに取り組む若者が集まり、土地と人のあいだに新たな関係を築きつつあります。
http://kanran-sha.net

野内彥太郎(農家 / 1932年 福島県大玉村生まれ)
大玉村にある世帯数30ほどの小姓内集落に生まれ育つ。1950 年代、集落内の農道を拡張し、米作りに関わる作業を共同で取り組むことを発案、意見を取りまとめて実施する。このときに大型農業機械を共同購入。1965年、安積疏水から用水を引き込んで集落内の水田を拡張する。おなじ頃、山の伏流水を集落内に供給する水流システムを造り、水汲みにいかなくても水を得られるようにした。1960年代には集落内に散らばっていた各戸の農地をまとめることをほかの集落に先んじて行い、農業を合理的につづけていく道筋をつけた。1974年より、東北自動車道開通に伴い、安達太良観光サービス(株)の設立とサービスエリアの運営に関わる。
2011年、原発事故による放射能汚染の研究がきっかけで林剛平と知り合い、6年間をかけて水田の放射能調査をおこなう。休耕地で藍を育てることを発案、歓藍社の一員として共に活動をはじめる。

林剛平(3.11後の地域学、回遊するヒト / 1985年 神奈川生まれ)
東日本大地震のとき、私は京都でキノコの研究をしていた。原発事故を受け、農学部で緊急集会を開いて4月に避難の呼びかけに初めて福島に行ったが、呼びかけに応じた人は誰もいなかった。でも、その後、農家の人たちから頼まれて土壌の放射能測定をすることになり、その時に出会った一人が、福島県大玉村の野内彦太郎氏であった。測定結果を報告した後、彼とお茶をのみながら、山水を集落に引いて村で最初の水道を作った話や、農地を整理した話や、地震で崩れた大谷石の壁からピザ窯を作ろうとしていることなどを聞いて深い憧憬を覚えた。
夏に飛騨高山で開催されるモノ作りの私塾、高山建築学校の校主、岡啓輔は、「つくる悦びは、希望を伝播する」と伝えている。野内氏が戦後の激動期をくぐり抜けながら農村で培った実践知と、私の環境放射線生物学という専門知が結びつけば、人間性の恢復や災害リスクを長期的に軽減することができるのではないか。そんな思いから歓藍社は始まった。

佐藤研吾(建築家 / 1989年 神奈川生まれ)
東京で暮らしていた自分がインドと福島に関わり出したのは、震災から2年ほど経った2013年か14年で、ほぼ同時期である。インドには、建築学校の先生として訪れ、その後、その地に自分でも小さな建築学校「In-Field Studio」をつくった。
福島の大玉村では歓藍社として、藍染めと畑仕事を始めた。地面から生え出たような生活実践と工夫の有様を学びたいと思い、東京から通ううちに、藍染めに限らず、木工、鋳造と、自分にも可能な制作を試す拠点になっていった。
ふたつの場所はいま、自分が活動する=生きていくための居場所になっている。インドと福島という離れた二つの土地(東京を含めると三つになる)を行き来することで見えてくる、あるいは見ようとしているものは何なのか。それは、生活にまつわる"技術"の姿であり、人-モノ-場所の在るべき連帯の形なのかもしれない。そんな探求のトライアル=行動の軌跡が、自分にとっての建築だという気がしている。

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2022年3月11日金曜日

【ラジオ番組アーカイブ公開】
『3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み』

昨年3月に放送されたラジオ番組、TOKYO FM 『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』をアーカイブ公開しました。 リモート出演していただいた歓藍社メンバーが活動する福島県の大玉村の写真と共にご試聴ください。

TOKYO FM 『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』
3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み 

前篇 https://youtu.be/v5he6HY7XKA
(2021年3月7日(日)04:30 - 05:00 放送分)

後篇 https://youtu.be/Nr3P5V67Jks
(2021年3月14日(日)04:30 - 05:00 放送分)

詳しい放送内容は昨年の投稿をご覧ください。
http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2021/03/31110.html

2021年3月6日土曜日

『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』 3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み 前後篇


3月に開催予定だった『ことばのポトラック』はコロナ禍ゆえに、今年もやむ終えず延期いたします。 ご出演予定だった福島大玉村の歓藍社のみなさん(野内彦太郎さん、林剛平さん、佐藤研吾さん)とは、東京FMのラジオ番組「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」で話すことが出来ました。彼らは大震災をきっかけに、休耕田で藍を育てて藍染め製品を作る活動をはじめます。 「”復興”が元の姿に戻ることを意味するならば、我々が目指すのはそこではない!」今年90歳を迎える野内彦太郎さんの若々しく力強い声に触れてください。

※試聴方法/日時等は以下をご覧ください。

TOKYO FM
https://www.tfm.co.jp
https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20210307043000
『トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ』

3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み 前後篇

出演:田中美登里  ゲスト:大竹昭子(文筆家) リモート出演:歓藍社メンバー/野内彦太郎(農家)、佐藤研吾(建築家)、林剛平(環境放射線生物学、回遊するヒト)

放送日時:
【前編】2021年3月7日(日)04:30 - 05:00 AM
    (※3月6日(土)28:30 - 29:00)
【後編】2021年3月14日(日)04:30 - 05:00 AM
    (※3月13日(土)28:30 - 29:00)

放送内容: 3.11から10年/藍ではじめる、福島県大玉村の試み 前篇~東日本大震災と福島原発事故から10年。 環境放射線の調査のために福島を訪れた林剛平氏と大玉村の農家の古老、野内彦三郎氏の出会いから、大玉村再生の試みが始まりました。 建築家の佐藤研吾氏も加わって、藍染の藍を作りながら、新しい共同体を作ろうと、2016年に「歓藍社」を旗揚げ。 他地域からも様々な職業の人を呼び込んで、新しい物語が生まれつつあります。 震災を契機にトーク・イベント「ことばのポトラック」を立ち上げた文筆家の大竹昭子さんと共に、2週にわたり、大玉村と繋いでのトーク・セッション。 福島の未来に何が見えるでしょうか?

radiko でも試聴可能です。
http://radiko.jp/share/?sid=FMT&t=20210307043000
※首都圏の方:タイムフリー/1週間以内なら聞き始めから24時間以内、計3時間の試聴が可能です。
※首都圏以外の方:radikoプレミアム(有料)加入で聴取可

JCBAを通じて「エフエムきたかた」他、世界中に配信
https://www.jcbasimul.com
https://www.jcbasimul.com/radio/722/
【前編】2021年3月12日(金)00:30 - 01:00 AM
    (※3月11日(木)24:30 - 25:00)
【後編】2021年3月19日(金)00:30 - 01:00 AM
    (※3月18日(木)24:30 - 25:00)

MUSICBIRD THE AUDIO
http://musicbird.jp/programs/twmw/
※3月7日(日)&14日(日)0:00~1:00 AM 放送
※MUSICBIRDはTOKYO FMグループの高音質CS衛星デジタルラジオです。
クラシック、ジャズなどジャンル別に多数のチャンネルがあり、試聴には専用のチューナーとアンテナが必要。

お問合せ先:
03 -3221-9000
http://www.musicbird.jp/

2020年12月13日日曜日

加藤典洋さんと岡井隆さんを偲んで

                           大竹昭子

「ことばのポトラック」では、出演者の方々にこの日のために書き下ろした作品を朗読していただき、その声とことばを映像に残してきましたが、昨年5月16日には「vol.2 五つの声のかたち」に出演いただいた評論家の加藤典洋さんが、今年7月10日には「vol.5 声がつなぐ短歌」にご出演された歌人の岡井隆さんが逝去されました。
ここにおふたりの朗読映像を公開し、ご冥福をお祈りしたいと思います。



 加藤典洋さんには、堀江敏幸さんから出演のお願いをし、快諾をいただきましたが、その後、「こういうの、大変に苦手なので、どうしようかなとも思っています」という戸惑いのメールが届きました。東日本大震災をきっかけにはじまったイベントですから、内容は何でもいいと言うわけにはいかず、しかも書いたものをその場で読み上げるのですから当然です。困った、困った、とうなっておられる声が聞こえてくるような初々しいご様子に、思わず苦笑いたしました。
 加藤さんは当日、柳田国男が終戦の間際に書いた『先祖の話』を再読し、以前読んだときには気付かなかったことに驚嘆したという「ポトラック」にふさわしい文章(「細い糸のなか、2015」)を読んでくださいました。打ち上げにも残られて、後日、「とても楽しかった、呼んでくれてありがとう、得をした気持ちになった」というメールをくださり、感激したのを覚えています。

*当日のご報告と写真はこちら
http://katarikoko.blog40.fc2.com/blog-entry-791.html




 岡井隆さんには、「vol.5 声がつなぐ短歌」を企画した歌人の東直子さんからお声をかけていただきました。岡井さんは三十冊もの歌集を出されており、短歌界の大御所という印象を抱いていましたが、実際にお会いしてみると、まわりの者を少しも緊張させない軽快で朗らかなお人柄で、たちまち魅了されました。
 ステージでの振舞も実にユニークで、おしゃべりをしているように思わせておきながら、いきなり短歌を読み上げられるところなど、その融通無碍な雰囲気が実に颯爽としていてカッコよかったのが印象に残っています。
 映像を見直してみて、ドイツに旅する直前に出演いただいたことを思いだしました。自分がおなじ歳になったときにこのようにステージに立てるだろうかとふと考えてしまいます。岡井さんのエネルギーにあやかりたいと思います。

*イベント内容はこちら
http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2011/08/vol5_19.html

2020年2月28日金曜日

『ことばのポトラック VOL.17 』開催延期のお知らせ

2020年3月8日(日)に開催を予定しておりました『ことばのポトラック vol.17』は、新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大によるリスクや、さらなる拡散防止の観点など、様々な状況を鑑みまして、開催を延期することになりました。予定をあけていただいていたみなさま、誠に申し訳ございません。ご迷惑をおけかしますが、ご理解の上よろしくお願いいたします。

※大竹昭子さんからのメッセージです。↓

 「ことばのポトラック 」の延期に寄せて


福島から歓藍社のみなさまをお迎えする予定だった今回の企画、
「藍ではじめる~福島県大玉村の試み」は、そのまま来年に持ち越しになります。2021年3月の同時期に、同メンバー、同内容での開催を予定しております。詳しい開催日時が決まりましたら、下記SNS等でお知らせさせていただきますので、フォローしていただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

▶︎official web site
 http://kotobanopotoluck.blogspot.com
▶︎Twitter
 https://twitter.com/potoluck
▶︎Facebook
 https://www.facebook.com/kotobanopotoluck

ことばのポトラック 運営事務局
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※チケットご予約/ご購入済みのお客様へ
この度は大変ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。個々のお客様には、別途メールにてご連絡をさせていただきます。
なお、いただきましたご予約は自動的にキャンセルされます。またクレジット決済でお申し込みの方は、決済自体が取り消されますのでご安心ください。
万が一連絡がなかったり、お困りのことがございましたら、下記メールアドレスまで、お名前/お電話番号を添えてご連絡くださいませ。よろしくお願いいたします。
kotobanopotoluck@gmail.com (ことばのポトラック 運営事務局)

「ことばのポトラック」の延期に寄せて

 今年3月8日の「ことばのポトラック」は開催を見送り、来年のおなじ時期におなじ企画内容で開催することにいたしました。理由はご想像のとおり新型コロナウィルスが蔓延しているためです。
 9年前、東日本大震災から間もない3月27日に「ことばのポトラック」をはじめたのは、津波や放射能汚染のニュースにうちひしがれて家に引きこもっているより、ことばを持ち寄って集まるほうが生きる力になるのではないか、と考えたからでした。
 ところが今年はそれとは逆の事態により延期を余儀なくされました。人が集まり、顔を合わせることが危険を募らせることとなり、引きこもるよう推奨されているのです。大震災もウイルス蔓延も人間には不可抗力の事態であり、根本的な解決が容易につかないところが共通しています。人間の胆力と知力が試されているのを感じます。
 今年の「ことばのポトラック」は、東日本大震災のあとに福島県大玉村で歓藍社という活動をはじめた方々をお招きする予定でした。大玉村に生まれ、ずっとそこで暮らしてこられた80代の野内彦太郎さんと、彼との出会いをきっけに大玉村で何かをはじめようと決意した生態学者の林剛平さんと建築家の佐藤研吾さんという、世代も社会体験も育った環境も異なる3人に登壇いただき、彼らの知性が行動に結びき、創造的な暮らしのあり方を模索しているさまを語っていただきたいと思ったのでした。
 来年はおなじ3人に出ていただき、将来にまた起きるかもしれない震災やウイルスといった事態にどのように立ち向えばよいのか、とかく二項対立として語られる都市と田舎のあいだをどのようにつなぐことができるのかを話し合いたいと思います。
 今年一年のあいだに、歓藍社の活動は加速し、彼らの土に根ざした知性はますます磨かれていくはずです。彼らの動きを注視しつつ、来年3月にはその成果を聞くためにぜひお集まりいただければうれしいです。 (2020.2.28)

「ことばのポトラック」代表 大竹昭子


2020年2月1日土曜日

第17回目となることばのポトラック。2020年の今年は福島から歓藍社のみなさんをお迎えし、「藍ではじめる~福島県大玉村の試み」を開催します!

◆ことばのポトラック vol .17  予告編(撮影:林剛平 編集:磯﨑未菜)◆

【ことばのポトラック vol.17】
開催日時 2020年3月8日(日)16:30開場、17:00開演
会場   北千住BUoY  2Fカフェ
     http://buoy.or.jp
     東京都足立区千住仲町49-11 2階
     東京メトロ千代田線・日比谷線/JR常磐線/東武スカイツリーライン
     「北千住」駅出口1より徒歩6分、西口より徒歩8分
タイトル 「藍ではじめる~福島県大玉村 の試み」
料金   2000円(一般)
     1000円(学生・要学生証提示)
ゲスト  歓藍社メンバー:野内彦太郎(農家)、林剛平(回遊するヒト)、佐藤研吾(建築家)
司会進行 大竹昭子&堀江敏幸

チケットについて
▶︎ ご購入(クレジット決済)ご希望の方
http://ptix.at/glV8rd
▶︎ ご予約(当日現金精算)ご希望の方
http://ptix.at/Qv5CH5
▶︎学割(当日現金精算)専用フォーム
http://ptix.at/Nzld6S

※チケットご購入(ご予約/当日精算/学割含む)先着60名の方に、詩集「ことばのポトラックvol.1」 を差し上げます。2011年3月27日に開催された「ことばのポトラックvol.1」で、出演者が朗読した詩・短歌・俳句などと、それぞれによる書き下ろし文を収録した、貴重な冊子です。
寄稿者(敬省略):J.M.G.ルクレジオ・大竹 昭子・ピエール・バルー・佐々木 幹郎・平田 俊子・小池 昌代・堀江 敏幸・古川 日出男・管 啓次郎・Ayuo・くぼた のぞみ・南 映子・東 直子・間村 俊一・かのう よしこ・潮田あつ子バルー

http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2011/06/vol.html

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《歓藍社のはじまり》
大玉村は安達太良山のふもと、福島第一原発から約50kmの位置にあります。 2011年の原発事故直後、地域の放射能汚染を調査していた林剛平さんは地元の農家、野内彦太郎さんと知り合い、今後、この地域でどんな暮らし方がありうるかを考えるうちに、耕作放棄地を活用して藍の栽培と藍染めをすることを思い立ちます。建築家の佐藤研吾さんもそれに賛同し、歓藍社と名付けて活動を開始。いまでは地域の外からもモノづくりに取り組む若者が集まり、土地と人のあいだに新たな関係を築きつつあります。

⚪︎ゲスト
野内 彦太郎
農家。1932(S7)年生まれ。福島県大玉村の小姓内集落に暮らす。1950年代、集落内の農道を拡張。1955(S30)年ごろ、集落内の米作りに関わる作業を共同で取り組むことを発案し、意見を取りまとめて実施、大型農業機械を共同購入。1965(S40)年、地内の開田計画を興し、安積疏水から集落内へ用水を引き込むことを実現。1960年代、山の伏流水を集落の世帯に供給する水流システムを建設、整備。1960年代、集落独自で土地改良を実施。1971(S46)年、村内で先んじて基盤整備事業の統括に携わる。1974(S49)年より、東北自動車道開通に伴い、安達太良観光サービス(株)の設立とサービスエリアの運営に関わる。 
2011年、原発事故に対する放射能に関する研究がきっかけで、林剛平さんと知り合い、6年間をかけて水田の放射能調査を協同。2016年から歓藍社として活動を共に始める。歓藍社の最初の藍は、彦太郎さんの休耕地で育ったもの。

林剛平(回遊するヒト)
東日本大地震のとき、私は京都でキノコの研究をしていた。原発事故を受け、農学部で緊急集会を開いて4月に避難の呼びかけに初めて福島に行ったが、呼びかけに応じた人は誰もいなかった。でも、その後、農家の人たちから頼まれて土壌の放射能測定をすることになり、その時に出会った一人が、福島県大玉村の野内彦太郎氏であった。測定結果を報告した後、彼とお茶をのみながら、山水を集落に引いて村で最初の水道を作った話や、農地を整理した話や、地震で崩れた大谷石の壁からピザ窯を作ろうとしていることなどを聞いて深い憧憬を覚えた。
夏に飛騨高山で開催されるモノ作りの私塾、高山建築学校の校主、岡啓輔は、「つくる悦びは、希望を伝播する」と伝えている。野内氏が戦後の激動期をくぐり抜けながら農村で培った実践知と、私の環境放射線生物学という専門知が結びつけば、人間性の恢復や災害リスクを長期的に軽減することができるのではないか。そんな思いから歓藍社は始まった。

佐藤研吾(建築家)
東京で暮らしていた自分がインドと福島に関わり出したのは、震災から2年ほど経った2013年か14年で、ほぼ同時期である。インドには、建築学校の先生として訪れ、その後、その地に自分でも小さな建築学校「In-Field Studio」をつくった。
福島の大玉村では歓藍社として、藍染めと畑仕事を始めた。地面から生え出たような生活実践と工夫の有様を学びたいと思い、東京から通ううちに、藍染めに限らず、木工、鋳造と、自分にも可能な制作を試す拠点になっていった。

ふたつの場所はいま、自分が活動する=生きていくための居場所になっている。インドと福島という離れた二つの土地(東京を含めると三つになる)を行き来することで見えてくる、あるいは見ようとしているものは何なのか。それは、生活にまつわる"技術"の姿であり、人-モノ-場所の在るべき連帯の形なのかもしれない。そんな探求のトライアル=行動の軌跡が、自分にとっての建築だという気がしている。

2019年4月9日火曜日

写真家の志賀理江子さんをお迎えした、ことばのポトラックvol.15 ダイジェスト映像を公開!

2018年3月11日(日)に開催された、「ことばのポトラックvol.15 大震災から今まで、言葉になること、ならないこと」 のダイジェスト映像を公開しました。志賀さんはこの日、これまで語ってこなかった震災の体験をはじめて公の場で話しました。テキストを用意して映像を上映しながら、強い意思と覚悟をもって話したのです。現在、志賀さんの写真展「ヒューマン・スプリング」(2019年3/5~5/6)が東京都写真美術館で開催中ですが、このときのトークをきっかけに1年かけてテーマを抽出して作り上げられました。




撮影・編集:
磯崎未菜

出演:
志賀理江子(写真家)
清水チナツ(元せんだいメディアテーク学芸員)

司会進行:
堀江敏幸・大竹昭子


日時:
2018年3月11日(日)

会場:
サラヴァ東京

2019年3月21日木曜日

赤城修司さんをお迎えした第16回「ことばのポトラック」のご報告です。

はじめて福島からお迎えした第16回のゲストは、大震災以来、身のまわりを撮影しつづけてきた赤城修司さんです。まず昨年の「ことばのポトラック」のダイジェスト映像(撮影・編集 磯崎未菜)を上映、志賀理江子さんが2時間ノンストップで語ったあの日の熱気を思い起こし、この一年遠ざかっていた大震災の記憶をそれぞれのうちによみがえらさせたところで、赤城さんにご登壇いただきました。

右から赤城修司さん、堀江敏幸さん、大竹昭子。

赤城さんは福島市内の高校で美術教師を務めていますが、震災の翌日から周囲の様子をカメラに収めはじめ、いまもつづけています。これまで50回近く講演してこられましたが、今回のトークのために彼は「がんばろう!福島」というスローガンを撮った写真をセレクトしました。それを見せながら語った彼の言葉からは、街のいたるところに、「がんばろう!」があふれていた異様さが伝わってきました。

原発事故が起きたとき、赤城さんがまず思ったのは子どもたちを安全な場所に逃がそうということでした。密かにポスターも自作しますが、公の立場からそのような発言は出てこず、がんばることだけが叫ばれました。がんばるにはこの地に留まることが必然であり、まるで戦時中の一億玉砕のようだったといいます。

前半は、赤城さんの写真をスライドで見ながらトークを聞く。

赤城さんは著書『Fukushima Traces 2011-2013』(オシリス)のなかでこのように書いています。震災後の3日間、人々は肩書き、年齢といったものにとらわれず、目の前の人を助けるために自ら動いていた。「立場」でものを言う人はいなかった。でも、組織が動きだすとそれが一変し、みなが組織の判断を仰ぎ、自分で考えたことより上からの指示を優先するようになり、さまざまなことがちぐはぐになった……。

教育現場にいる赤城さんは学校でも日々それを感じています。映された動画のひとつには生徒が「起立、礼、着席」の号令のもとに行動するシーンがあり、学校から遠ざかっている私にはどこか別の国の光景のように思えたものです。このように、生徒にものを考えさせまいとする教育が進行していることと、「がんばろう福島」が連呼されることが無縁であるはずはありません。

赤城さんのスライドより。

そもそも今回赤城さんが「がんばろう福島」に絞って語ることにしたのは、2月に出版された安東量子さんの『海を撃つ』(みすず書房)を赤城さんが読まれているなら、トークでご感想を伺えないだろうか、と私が事前にメールで投げかけたのがきっかけでした。
安東さんの著書について簡単に触れておくと、彼女は震災後、福島に留まりたい人のために「エートス福島」という活動を立ち上げ、放射線量についての知識の獲得や測定作業をはじめます。『海を撃つ』には、人と一緒に行動をするのが苦手だった彼女が、止むに止まれずこの活動をはじめた経緯、その途上で感じ考えたことなどが時間を追って語られていきます。私はこれをひとりの女性の行動の軌跡として興味深く読み、また文章が内省的であることにも好感をもち、トークで取り上げたいと思ったのでした。

赤城さんは安東さんの活動を知っていましたが、留まることが前提の内容に当時は反発を抱いたと言います。社会全体がひとつの方向に流れていく危険を感じていた彼にとって、それを助長する動きに思えたのは当然でしょう。「あの活動に救われたという人がいること、職業上、逃げたくても逃げられない人がいることは、いま振り返ってみればわかるけれど、あのときはこの事故に対して自分はどういう態度をとるべきか、それだけを考えました。留まることは過ちを犯した政治に一票を投じることになる、そう思ったのです」。

起きてしまったことを受け入れ、何ができるかを考えようとした安東さん。「逃げる」ことが事故への責任のとり方だと考えた赤城さん。どちらも自分自身に真剣に問うたがゆえの判断ですが、政治に都合のいい方が拡大し、流れが一方向に決まっていったことに赤城さんは敏感に反応したのでした。

赤城さんは社会を疑い、群れることを嫌いますが、自分を疑うことも忘れてはいません。聴衆の前に立つと、自分があたかも「正しい」ことを語っているような雰囲気になり、美談のように受け止められるのには違和感がある、本当は自分の言ったことに反論する人がでてくるべきなのだ、という彼の言葉から学ぶべきことは多いと思いました。

同じく教育の現場に関わる堀江さんからも「ナマの声」が。

「ことばのポトラック」はロジックを突き詰める場ではなく、言葉にしにくいもどかい思いや、自分のことばを見つけようとする姿をみんなの前にさらす場なのではないか、また観客が求めているのも答えや結論ではなく、書きことばでは伝わりにくいナマの声が放つエネルギーなのではないか、改めてそう感じられたとても緊張感のある時間でした。

いつもはわたしがインタビュアーになり、堀江さんは少し引いた視点でそれをまとめるという役回りでしたが、今回は堀江さんが身を乗り出して発言されていたのが印象的でした。教育現場に関わっているおふたりが、個の立場でしか仕事をしてこなかった私のような者にはわからない、教育の危機を感じておられるのを実感いたしました。(大竹昭子)

最後に記念写真を

写真提供:稲木紫織さん

2019年 「本のポトラック」と寄付金のご報告

毎回、出演者の推薦する本を出版社から献本いただき、割引価格で販売する「本のポトラック」をトーク終了後に行います。
推薦者が口上を述べて観客の面前で売る方式にしてから人気が上昇し、今回も多くの方が会場に残られ、熱気ある「叩き売り」になりました。お一人が2、3冊買ってくださり、1冊に複数の手があがることもあり(そのときはその場でジャンケンをします!)完売いたしました! 本が売れないと言われているいま、買い手につぎつぎと本が届いていくさまが目前で見られてうれしくなりました。


今回はこの売上金から諸経費を引いたものを、福島で放射線防護のための知識普及につとめている「ふくしま30年プロジェクト」にお贈りいたしました。
https://fukushima-30year-project.org/

献本にご協力いただいた出版社を挙げさせていただきます。以下の15社です。心より感謝申し上げます。
新潮社、朝日出版社、晶文社、みすず書房、中央公論新社、講談社、筑摩書房、岩波書店、青幻舎、亜紀書房、創元社、港の人、赤々舎、白水社、産業編集センター

また販売には、黒田玲子さん、棚橋万貴さん、柏崎春奈さん、小林英治さんにご協力いただきました。
ありがとうございました。

2019年「本のポトラック」推薦図書リスト

推薦図書のリストを欲しいという声をいただきましたので、ご紹介した順に書名をあげておきます。

『海を撃つ』安東量子著(みすず書房) 
『チェルノブイリ 家族の帰る場所』  サンチェス文、 ブストス (朝日出版社) 
『あわいゆくころ』 瀬尾夏美 著(晶文社   
『濃霧の中の方向感覚』 鷲田清一 著(晶文社)   
『災害ユートピア』レベッカ・ソルニット (亜紀書房)
『新版・夜と霧』 YE・フランクル(みすず書房)  
『献灯使』多和田葉子 ((講談社文庫)
『ファミリー・ライフ』アキール・シャルマ著、小野正嗣訳(新潮社クレストブックス)
『波』ソナーリ・デラニヤガラ著、佐藤澄子訳(新潮社クレストブックス)
『インヴィジブル』ポール・オースター著、柴田元幸訳(新潮社)
『帰れない山』パオロ・コニェッティ著、関口英子訳(新潮社クレストブックス)
『出来事と写真』 畠山直哉大竹昭子 (赤々舎) 
『本をつくる 赤々社の12年』姫野希美ほか(産業編集センター)
世間のひと鬼海弘雄著(ちくま文庫)   
『ナニカトナニカ』大竹伸朗著 (新潮社)         
『ホンマタカシの換骨奪胎』ホンマタカシ著( 新潮社)
『風景論 変貌する地球と日本の記憶』港千尋 著(中央公論新社)
『断片的なものの社会学』岸政彦著(朝日出版社)
『神様の住所』九螺ささら著(朝日出版社)
『定本 北條民雄全集 上・下』北條民雄著(創元文庫)  
『言葉の小蔭 詩から、詩へ』宇佐見英治著 (港の人)
『ブルーシート』 飴屋法水著 (白水社)
『私の体がワイセツ?!』ろくでなし子 著(筑摩書房)
『あとがき』片岡義男著( 晶文社)
『石原吉郎詩文集』石原吉郎 著(講談社文芸文庫)
『原民喜全詩集』原民喜著(岩波文庫) 
『まど・みちお詩集』まど・みちお著(岩波文庫)
『富士』武田泰淳著(中公文庫) 
『ひどい目』レ・ロマネスク著(青幻舎)  
The Absence of Two』吉田亮一 著(青幻舎)

上記のほかに志賀さんから『志賀理江子写真展カタログ』を、堀江さんからはご著書『傍らにいた人』『オールドレンズの神のもとで』『坂を見あげて』『曇天記』を(いずれも銀ペンサイン入り,パラフィン掛けで!)ご提供いただき、私からは『須賀敦子の旅路』『ことばのポトラック』『あの画家に会いたい個人美術館』『この写真がすごい2』を献本いたしました(大竹)


2019年2月3日日曜日

写真家の赤城修司さんをお迎えして「ことばのポトラック vol.16」 - 福島から8年目の報告 - を、アップリンク渋谷にて開催します!

ことばを持ち寄るこころみ「ことばのポトラック」、第16回目の今回は、福島から写真家の赤城修司さんをお迎えいたします。赤城さんは、震災の翌日から住んでいる福島市内の写真を撮りはじめました。全戸の住宅汚染が開始されてからはブルーシートの写真が増えていきますが、「このブルーシートの写真を公表することに、今でも躊躇を感じている。どうして躊躇するのだろうと、という疑問も含めて、僕はこの感情をどこかに残さなければならない、と感じている」と述べています(『Fukushima Traces 2011-2013』)。放射能汚染のことはもちろん、それが引き起こす人間関係の軋轢にも考えを及ばせるのがポトラックの場。赤城さんが撮影した写真を上映しつつ、彼の自問自答を会場のみなさんと分かち合いたいと思います。東京に暮らすわたしたちが職場や友人関係で抱えている問題と彼の問いとは、決して無縁ではないのですから。みなさまのご参加をお待ちしています。(大竹昭子)


◆赤城修司
1967年福島生まれ、1989年筑波大学芸術専門学科群洋画コース卒業。福島市内の高等学校で美術教師を務める。震災後に家族とともに出身地の会津に避難し、そこから通勤する生活をつづけるが、5年後にもどり、現在は福島在住。震災の翌日から自分の足元の僅かな傷跡を記録しておきたいという思いで撮影をはじめ、いまも継続している。2015年に写真集『Fukushima Traces 2011-2013』(オシリス)を出版。

ゲスト:赤城修司(写真家)
司会進行:堀江敏幸・大竹昭子

◎日時
2019年3月9日(土)
18時半開場 / 19時開演(22時終演予定)

◎会場
アップリンク渋谷  スクリーン1 
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階

◎チケット代
2.000円

◎チケット購入先

※2011年の初回からお世話になってきた「サラヴァ東京」が閉店のため、会場を、同じ渋谷の「アップリンク」に移しての開催となります。チケットは上記 WEB SITEからのご購入となります。(一部、アップリンク渋谷の窓口での取り扱いあり)
※また、「アップリンク」渋谷の会場併設ギャラリーでは、赤城修司写真展「Fukushima Traces 2011-2019」を開催します。展示期間:2019年3月6日(水)~3月11日(月)まで。
※トークの後に、出演者が推薦する書籍を出版社から提供いただいき、割引価格で販売する「本のポトラック」をおこないます。それらの収益と、入場収入の一部をあわせて、震災関連の活動に寄付いたします。

◆ことばのポトラック vol .16  予告編
(撮影・構成:磯﨑未菜)




2018年3月22日木曜日

「ことばのポトラック vol.14」ダイジェスト映像をアップ

2017年3月5日開催の「アートの底力」のダイジェスト映像をYouTubeで公開いたしました。
大震災を経験し、それまでの活動を本源から問い直すことになった鴻池朋子さんが、
当時の状況を振り返りつつ、その後どのように活動を再開していったかを語ります。
その時々の気持ちを、できるかぎり忠実に表現しようとする彼女のことばは、何度見返しても新鮮で、勇気づけられます!(大竹昭子)




2017年3月5日(日)
ポトラックvol 14「アートの底力」 ダイジェスト

撮影・編集:
大川景子

出演:
鴻池朋子(美術家)

司会進行:
堀江敏幸・大竹昭子

2018年3月20日火曜日

2018年3月11日(日)ことばのポトラック vol.15「大震災から今まで、言葉になること、ならないこと」では、写真家・志賀理江子さんにお話しを伺いました。

右から志賀理江子さん、堀江敏幸さん、大竹昭子

「ことばのポトラック」はこれまで14回おこなってきましたが、3月11日当日に開催したのは今回がはじめてです。わざわざ選んでそうしたわけではないものの、その日にお迎えするのにこれ以上ふさわしい人はないというゲストにお越しいただけて、とても特別な「ことばのポトラック」になりました。

ゲストにお迎えした志賀理江子さんはイギリスで写真を学び、その後も彼の地に留まり、このままヨーロッパを中心に活動していくだろうと思っていた矢先に、レジデンス・プログラムで帰国した際に仙台郊外の北釜の松林に魅了され、日本をベースにすることを決めました。松林にアトリエを建てたのは2008年11月で、それから2年数ヶ月後に大地震に遭遇。買い物に出ていて命だけは助かったものの、ほかのすべてのものを失いました。

これまで震災について語ったことはないそうで、ご本人も聞く側も緊張し、2011年3月27日の最初の「ポトラック」を思い起こすような空気のなか、スライドを上映しながら志賀さんが2時間ノンストップで語ってくれたのは、震災が自分にどのように影響し、何をもたらしたのかを、自己史も遡りつつ細心の注意を払ってことばを積み重ねた、これまでどこでも見聞きしたことのない「震災体験記」でした。

避難所での人々の様子、仮設住宅での暮らし、被災地に暗躍する政治の動きなどを、例をあげて語りながら宇宙的な視野につなげます。その原点にあるのは、すべての物事が等価になり世界が平たくなった震災の夜の風景だった、といいます。ヒトが生まれる以前の世界を想起させるような光景に彼女は魅せられ、と同時にそのなかからさまざまな価値が「キノコのように」生え、覆い尽くしていったのを目撃したのです。

ライブの場だからと思い切って話されたエピソードも多く、ここで触れることはできませんが、ひとつの話がつぎの話につながり、同心円状に輪のように広がっていくさまが見事でした。彼女の作品に「螺旋海岸」というシリーズがありますが、まさにそのように震災の体験が螺旋状に物語られていったのです。

志賀さんが自宅跡で拾ったという割れた地球儀

志賀さんが震災後に大きな影響を受けたものに、小野和子さんという児童文学者が1970年代にはじめた、「みやぎ民話の会」という民話採集の活動があります。物語は語る人とそれを聞く人の必然によって成り立つことを、志賀さんは小野さんから学びとったといいます。大震災のような既存のことばを超えた出来事に直面したときは、物語にすがるしかない。語りながら乗り越えていくのです。避難所ではブラックなジョークがたくさん飛び交ったそうですが、それは当事者にとって笑うことが切実だからで、もしかしたら、物語に救いをもとめることは、人間だけに許された、もっとも人間らしい行為なのかもしれないと思いました。
 
「みやぎ民話の会」については、志賀さんと一緒にお越しくださった「せんだいメディアテーク」の清水チナツさんが飛び入り参加でお話してくれましたが、そのなかに小野さんから聞いたという折口信夫のことばがありました。人の家を訪ねて門前で帰ってしまう人を、むかしの人は蔑んだそうです。門の中に入らなくてはならない。入れば訪ねた人は変わることを余儀なくされ、聞く人と語る人が溶け合う濃密な時間が生まれるのだと。

仙台メディアテークの清水チナツさん(左)が飛び入り参加で「宮城みんわの会」について話してくれました

この日、会場には100名の方が集いました。それでも多くの希望者をお断りしなければならなかったのですが、会場に足を運ぶというのは、いわば「門を入る」ことです。そこでは、それまでの自分を横に置き、その場で起きていることを受け入れる「器」にならなくてはいけません。メディアを通じて何かを得るのとは異なる、生身を差し出す行為なのです。

情報が簡単に手に入る現代では、まどろっこしい方法とも言えますが、「ポトラック」の原点はまさにそこにある、と改めて思いました。ふだん意識にのぼってこなくても、記憶として残る濃厚なものを体のどこかに入れておくこと。忘れても、いつかは出てくるかもしれないから、そのことを信じて「器」を満たしておくこと。そのことを肝に命じられたた貴重なひとときでした。(大竹昭子)

写真:サカタトモヤさん