昨年(2022年)9月12日に宮沢章夫さんが亡くなられました。
訃報に接したとき、大変に驚きました。まだ60代でいらっしゃいましたから、まったく思い掛けないことでした。
宮沢さんとは2015年から2年間、朝日新聞の書評委員会でご一緒しました。独特のユーモアと突拍子もない笑い声の持ち主で、すっかり親しみを抱いてぜひ「ことばのポトラック」に出てくださいとお願いしたのです。
二つ返事でOKしてくださり、当日は喫茶店にでも入ってくるような調子でぶらっとお見えになりました。2016年5月29日のことです。
順番がくると、自分は考えたことをいつもiPhoneにメモしているので、そうやって書いたものを読みますとおっしゃり、iPhoneを片手に画面を見ながら読みはじめたのです。
あたり前の声でしゃべりたい、ふつうの声で話したい、いい声である必要はない、いい声とはなんなのか?
声を張ったり、演出したりせず、ふだんの声のまま、つぶやくようにおこなう朗読はかえってインパクトがありました。声と行為と語りの内容が見事に一致していて、彼が言葉というものをどういうレベルでとらえているかがよくわかったのです。
この映像を見ていると、破顔のあとに一拍おいて放つ彼の笑い声がよみがえってきます。ご縁に感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。(大竹昭子)
※「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」
ダイジェスト映像より抜粋【2016年5月29日(日)】
https://youtu.be/j8ngs2hwrzw
※当日のレポートはこちらから
▶︎第13回「ことばのポトラック」のご報告です!
http://katarikoko.blog40.fc2.com/blog-entry-835.html
▶︎「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」を終えて
http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2016/06/2016529-vol13.html