「ことばのポトラックvol.1」 絶賛発売中!

2011年3月11日に起きた東日本大震災から16日後の3月27日、大竹昭子の呼びかけで、サラヴァ東京(東京/渋谷)にてスタートしたことばを持ち寄るこころみ。第一回目には13人の詩人と作家たちが参加して感動的な会になりました。( potluck = 「持ち寄る」)

2018年3月22日木曜日

「ことばのポトラック vol.14」ダイジェスト映像をアップ

2017年3月5日開催の「アートの底力」のダイジェスト映像をYouTubeで公開いたしました。
大震災を経験し、それまでの活動を本源から問い直すことになった鴻池朋子さんが、
当時の状況を振り返りつつ、その後どのように活動を再開していったかを語ります。
その時々の気持ちを、できるかぎり忠実に表現しようとする彼女のことばは、何度見返しても新鮮で、勇気づけられます!(大竹昭子)




2017年3月5日(日)
ポトラックvol 14「アートの底力」 ダイジェスト

撮影・編集:
大川景子

出演:
鴻池朋子(美術家)

司会進行:
堀江敏幸・大竹昭子

2018年3月20日火曜日

2018年3月11日(日)ことばのポトラック vol.15「大震災から今まで、言葉になること、ならないこと」では、写真家・志賀理江子さんにお話しを伺いました。

右から志賀理江子さん、堀江敏幸さん、大竹昭子

「ことばのポトラック」はこれまで14回おこなってきましたが、3月11日当日に開催したのは今回がはじめてです。わざわざ選んでそうしたわけではないものの、その日にお迎えするのにこれ以上ふさわしい人はないというゲストにお越しいただけて、とても特別な「ことばのポトラック」になりました。

ゲストにお迎えした志賀理江子さんはイギリスで写真を学び、その後も彼の地に留まり、このままヨーロッパを中心に活動していくだろうと思っていた矢先に、レジデンス・プログラムで帰国した際に仙台郊外の北釜の松林に魅了され、日本をベースにすることを決めました。松林にアトリエを建てたのは2008年11月で、それから2年数ヶ月後に大地震に遭遇。買い物に出ていて命だけは助かったものの、ほかのすべてのものを失いました。

これまで震災について語ったことはないそうで、ご本人も聞く側も緊張し、2011年3月27日の最初の「ポトラック」を思い起こすような空気のなか、スライドを上映しながら志賀さんが2時間ノンストップで語ってくれたのは、震災が自分にどのように影響し、何をもたらしたのかを、自己史も遡りつつ細心の注意を払ってことばを積み重ねた、これまでどこでも見聞きしたことのない「震災体験記」でした。

避難所での人々の様子、仮設住宅での暮らし、被災地に暗躍する政治の動きなどを、例をあげて語りながら宇宙的な視野につなげます。その原点にあるのは、すべての物事が等価になり世界が平たくなった震災の夜の風景だった、といいます。ヒトが生まれる以前の世界を想起させるような光景に彼女は魅せられ、と同時にそのなかからさまざまな価値が「キノコのように」生え、覆い尽くしていったのを目撃したのです。

ライブの場だからと思い切って話されたエピソードも多く、ここで触れることはできませんが、ひとつの話がつぎの話につながり、同心円状に輪のように広がっていくさまが見事でした。彼女の作品に「螺旋海岸」というシリーズがありますが、まさにそのように震災の体験が螺旋状に物語られていったのです。

志賀さんが自宅跡で拾ったという割れた地球儀

志賀さんが震災後に大きな影響を受けたものに、小野和子さんという児童文学者が1970年代にはじめた、「みやぎ民話の会」という民話採集の活動があります。物語は語る人とそれを聞く人の必然によって成り立つことを、志賀さんは小野さんから学びとったといいます。大震災のような既存のことばを超えた出来事に直面したときは、物語にすがるしかない。語りながら乗り越えていくのです。避難所ではブラックなジョークがたくさん飛び交ったそうですが、それは当事者にとって笑うことが切実だからで、もしかしたら、物語に救いをもとめることは、人間だけに許された、もっとも人間らしい行為なのかもしれないと思いました。
 
「みやぎ民話の会」については、志賀さんと一緒にお越しくださった「せんだいメディアテーク」の清水チナツさんが飛び入り参加でお話してくれましたが、そのなかに小野さんから聞いたという折口信夫のことばがありました。人の家を訪ねて門前で帰ってしまう人を、むかしの人は蔑んだそうです。門の中に入らなくてはならない。入れば訪ねた人は変わることを余儀なくされ、聞く人と語る人が溶け合う濃密な時間が生まれるのだと。

仙台メディアテークの清水チナツさん(左)が飛び入り参加で「宮城みんわの会」について話してくれました

この日、会場には100名の方が集いました。それでも多くの希望者をお断りしなければならなかったのですが、会場に足を運ぶというのは、いわば「門を入る」ことです。そこでは、それまでの自分を横に置き、その場で起きていることを受け入れる「器」にならなくてはいけません。メディアを通じて何かを得るのとは異なる、生身を差し出す行為なのです。

情報が簡単に手に入る現代では、まどろっこしい方法とも言えますが、「ポトラック」の原点はまさにそこにある、と改めて思いました。ふだん意識にのぼってこなくても、記憶として残る濃厚なものを体のどこかに入れておくこと。忘れても、いつかは出てくるかもしれないから、そのことを信じて「器」を満たしておくこと。そのことを肝に命じられたた貴重なひとときでした。(大竹昭子)

写真:サカタトモヤさん

2018年3月19日月曜日

寄付金のご報告

◎今年も「本のポトラック」を開催、完売いたしました!

ゲストと聞き手の著書および推薦書を出版社から献本いただき、割引価格で販売する「本のポトラック」を終了後に開催、完売しました!
この売り上げ金なくしては、寄付金をお送りすることも、ポトラックを運営つづけることも出来ません。ご協力いただきました以下の出版社に深く感謝申し上げます。

赤々舎・亜紀書房・岩波書店・月曜社・幻戯書房・講談社・集英社・小学館・新潮社・人文書院・青幻社・夕書房・T&M Projects・中央公論新社・白水社・ビレッジプレス・美術出版社・平凡社・港の人

出版社から献本いただいた本を販売する「本のポトラック」を、終了後に開催

*販売をお手伝いいただいた黒田玲子さん、木村みずきさん、椿昌道さん、ありがとうございました。

今回の寄付金は「みやぎ民話の会」にお送りいたしました。
清水チナツさんに代読いただいた、以下に小野和子さんからのメッセージを掲載いたします。「ポトラック」の核に触れるすばらしい内容でした。


「宮城みんわの会」代表、小野和子さんの挨拶文を代読する清水チナツさん

◎「みやぎ民話の会」代表・小野和子さんからのメッセージ

《ご挨拶にかえて》           小野和子

あの世からのメッセージ      

 三十年余り前になるが石巻市雄勝湾の小さな浜で年老いた漁師さんに会った。いくつか聞かせてもらった浜の民話の合間に、召集をうけて赴いたガダルカナル島での、おそろしい飢餓の様子も語ってもらった。自分が奇跡的に生還できたのは、曽祖母が毎晩夢に現れて、あんこ餅を食わせてくれたおかげだと言う。そして、「だれもこの話を信じない」と嘆かれた。そうだろう。だが、わたしは漁師さんを支えたこの「物語」に強く惹かれて会うたびに語ってもらった。
浜は、あの東日本大震災の津波で完膚なきまでにやられた。

震災からしばらくしたある日、わたしは久しぶりに浜を訪れた。そこで開かれた小さな集会で話をさせてもらった。
 話が終わったとき、中年の男性が寄ってこられ「○○の息子です」と、亡き漁師さんの名前をあげられた。天地がひっくり返るほど驚いた。その朝、獲ったというウニをいっぱい手にしておられた。「津波ですべて流された」と言い、今は浜を離れての暮らしだと語られた。驚きはこれだけでなかった。中年の女性が近寄ってこられた。「岩崎としゑの末娘です」と言われる。ああ、なんということだろうか。岩崎としゑさんは作家松谷みよ子氏の名著『女川・雄勝の民話』(国土社)の話者である。わたしもお訪ねしてよく民話を聞かせてもらった。「みんな流されて母の本もありません」と言う。手にしていた松谷氏の本を渡すと、涙を拭いて何度も表紙を撫でられた。
 かつて、わたしにその語りを聞かせてくださった方の息子さん、そして娘さん。わたしたちは初対面だった。が、波の音を聞きながら、ただ黙ってしっかりと手を握り合った。「物語」がわたしたちを繋いでいることをひしひしと感じながら。そして、あの世からの強い強いメッセージを感じながら。
今回、いただいたみなさまからの資金は、あの世から連綿と続く先祖の言葉を記録するために大切に使わせていただきます。
ほんとうにありがとうございました。

2018年2月1日木曜日

写真家の志賀理江子さんをお迎えして「ことばのポトラック vol.15」 - 大震災から今まで、言葉になること、ならないこと - を開催します!

7年目に入る「ことばのポトラック vol.15」では、はじめて、東日本大震災を仙台郊外で体験し、その後もその場所で暮し、制作をつづけている方をお迎えします。
写真家の志賀理江子さんは1999年ロンドンに留学、卒業後、各地でレジデンス制作をしたのち、名取市北釜の海辺の松林に魅了され、帰国を決めてそこにアトリエを構えました。地域のカメラマンとして記録活動し、制作をはじめた途上で、東日本大震災に遭い、多くのものを失います。
7年の時間がたったいまだから話せることがある、と志賀さんは言います。震災と暮らし、写真と記憶、制作することと生きることなど、すべてが複雑に重なり合り、切り離すことができないご自身の現在を語っていただきます。
用意された言葉ではなく、対話をとおして言葉が生まれる瞬間に立ちあえるのが「ポトラック」です。思考力と瞬発力の両方をあわせもつ志賀さんの言葉を、ぜひ聞きにきてください。


ゲスト:志賀理江子(写真家)
司会進行:堀江敏幸・大竹昭子

◎日時:2018年3月11日(日)
    13時半開場 / 14時開演

◎会場
サラヴァ東京 渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビルB1

◎参加費
2.000円(お茶付き)

◎ご予約受付中
電話 03-6427-8886(受付時間:お店の休業日を除く 16:00 ~19:00 )

*終了後、出演者が推薦する書籍を出版社から提供いただいき、割引価格で販売する「本のポトラック」をおこないます。それらの収益と、入場収入の一部をあわせて、震災関連の活動に寄付いたします。


◆ことばのポトラック vol .15  予告編
(編集・磯﨑未菜)





2018年1月31日水曜日

ことばのポトラック vol .13
ダイジェスト映像アップ

「こういう場でもないかぎり、まず顔を合わることのない面々が、ことばを持ち寄ることで生まれる、不思議なエネルギーが感じられた「ポトラック」でした!(大竹昭子)



2016年5月29日(日)
ポトラックvol 13 ダイジェスト「まぶたを開いて夢をみる」

撮影・編集:
大川景子

出演:
宮沢章夫(劇作家・演出家)
植本一子(写真家)
卯城竜太(Chim↑Pom)
堀江敏幸(作家)
大竹昭子(作家)

司会進行:

堀江敏幸・大竹昭子

2017年3月22日水曜日

2017年3月5日(日)ことばのポトラック vol.14「アートの底力!」では、美術家・鴻池朋子さんにお話しを伺いました。

右からゲストの鴻池朋子さん、ホスト役の堀江敏幸さんと大竹昭子

毎回、「ことばのポトラック」では、大震災が起きたあの日のことに記憶を巻きもどすことからはじめます。

鴻池朋子さんはそのとき東京で個展が開催中でした。修復のために一旦閉鎖され、再開して行ってみると自分の作品がひどくよそよそしく感じられ、「なんでこんな絵を飾っているんだ」という苛立ちの言葉を思わず紙に書きつけて作品の下に貼付けます。これまで言葉を付けることに抵抗してきたので、「自分らしくないことをしている」と感じたそうです。

社会全体がなにかに気を使い、自らを抑制していることへの違和感も強くありました。「悲しい」とか「辛い」とか、自分にはしっくりこない言葉を述べることを周りから求められ、うまく喪に服することができてないのです。また、ワンセグでつぎつぎと届く津波の映像に、つぎは何が来るんだと興奮し、欲望が前のめりに出てしまったことにも驚きました。このことはキチンと心に留めておかなければならないと思った、と言います。

このような自分のなかから浮上してきた問いには、描くだけでは明らかにならないものが数多く含まれていました。それから5年間、彼女は作品制作を止め、美術の範疇ではとらえ切れない行為に入っていきます。

その典型な例が「物語るテーブルランナー」です。地元秋田の女性たちに、辛かったこと、奇妙な出来事、不条理な体験などを話してもらい、それを鴻池さんが下図に描き、ランチョンマットを刺繍してもらうのです。

その体験で印象深かったのは、語り手の表情から、話が脚色されていたり、なにかが隠されていたり、噓を言ったりしていることがわかること、生きてきた痕跡が表情のレイヤーになって見えることでした。人から話を聴くというのは、実はそういうことを目撃することなのだ、という認識に至るのです。

絵画では絵筆が紙の表面を水平移動するだけですが、手芸では布に針を突き刺し、裏側に出て、またもどってきます。表と裏の境界を突破すること、両面にその痕跡が残ることに、絵画との大きな違いがあります。「つまり、人の表情と内面の行き来とおなじことが起きているわけです」という指摘は、とかく芸術よりは下のものと見なされる手芸の奥深さに気付かせ、心に残りました。
 
絵描きにとって画材の選択は重要ですが、鴻池さんは震災後、キャンバスではなく、動物の皮をつなぎあわせた上に描くようになります。それは「空白の矩形」という境界を突破する行為として意味があり、昨年、カンザスの博物館でジオラマのなかにオブジェを設営するインスタレーションワークをおこなったのも、その延長上にあることが、お話を伺ううちにわかってきました。
つまり、彼女のおこなうことに、何ひとつつながっていないものはないのです。

このように整理して述べると、すらすらと物事が進んだように思えますが、実際にはなかなかつらい6年間だったと振り返ります。言葉で自分を追い込んでしまう息苦しさ、直観力をストレートに出せない閉塞感があったのでしょう。

でも、立ちはだかる壁を突破するのに、言葉の力が求められることがあるものです。
そこで挫折せずによじ登っていく人は、必ずや自分の言葉をつかんで制作にもどってきます。鴻池さんのお話しを聞きながら、そのことを強く感じました。


言葉を選びながら語る鴻池さん

観客の集中度は高く、2時間があっという間でした。
それは鴻池さんが用意された言葉を語るのではなく、こちらの投げかけた問いが自分のなかに引き起こす感情の波紋や考えを、できるだけ的確に言葉にしようと努めてくださったことが大きかったと思います。

言葉が生まれる瞬間や、それを繰り出そうとする人の表情を目撃する場が「ことばのポトラック」であり、6年前の3月に集まりましょうと呼びかけたのも、戸惑っていたらその顔を見せに来てください、ということだったのではないかと、今さらながら気付かされました。
顔を合わせて言葉を交わすことの大切さは、この先ますます高まるでしょう。「ことばのポトラック」が、ささやかながらその務めを担うことができればうれしいです。(大竹昭子)



写真:谷本 恵

2017年3月21日火曜日

寄付金のご報告

今年も、出演者の著作と推薦図書を出版社から寄贈してもらい、会場で販売して寄付金に充てる、恒例の「本のポトラック」をおこないました。

本編終了後、販売のテーブルをステージに移動、そこで3人が推薦図書の解説をしたのですが、これがとても盛り上がりました! 価格はオークション式に決めていったので、会場に長く残った人ほどお買い得となり、完売しました。


ご協力をいただいたのは、以下の出版社です。深く感謝申し上げます。
羽鳥書店・ミシマ社・亜紀書房・求龍堂・平凡社・岩波書店・小学館・月曜社・赤々舎・サンクチュアリ出版・つるとはな・みすず書房・白水社・春風社・コアポート・アツコバルー・

また寄付金は、鴻池さんがご推薦くださった、福島県相馬で活動している「3.11こども文庫」にお贈りいたしました。代表の佐藤史生さんが会場にお越しくださったのでステージで8万円を贈呈し、後日、丁寧なお礼状が届いたことを、ここにご報告いたします。

恒例となった、出演者の著書と推薦本を出版社から寄贈してもらい、「本のポトラック」。
それぞれが取り上げた本について解説し、高まる熱気のなか、本がどんどんと売れていきました!


*販売を手伝ってくださった、岡部安曇さん、猿田詠子さん、木村みずきさん、ありがとうございました。

写真:谷本 恵