「ことばのポトラックvol.1」 絶賛発売中!

2011年3月11日に起きた東日本大震災から16日後の3月27日、大竹昭子の呼びかけで、サラヴァ東京(東京/渋谷)にてスタートしたことばを持ち寄るこころみ。第一回目には13人の詩人と作家たちが参加して感動的な会になりました。( potluck = 「持ち寄る」)

2023年3月27日月曜日

第17回「ことばのポトラック」のご報告です。

2023年3月21日の「ことばのポトラック」は参加者の集中度がとても高く、その熱が登壇者の口をなめらかにし、まさに「ことば」を持ち寄る「ポトラック」らしい場になりました。
参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
「ことばを持ち寄る」集いだなんて、成果主義一辺倒の時代には焦点の曖昧なものに見えがちですが、実際には大違いでした。時代の流れに抗するのに新たな問いを立てる必要がある、とだれもが実感しているゆえのエネルギーが会場を包み込んだのです。
主義主張を述べるのではなく、意味を求めるのでもなく、模索しようという意思が確かめられたのでした。
登壇いただいた野内彦太郎さん(90歳)は最後に、「自分が生きる上で心がけてきたのは「美」だ」とおっしゃいました。
このことばには、心底ノックアウトされました。
美しい時間、美しい関係、美しい心……。
美を求めて生きれば、醜いものは寄ってこないはずです。
そして美は固定したものではなく、対象との間に現象するものでもあります。
つまり常に自分のなかの美の基準と照らし合わせている必要がある。
彦太郎さんのお姿を見ていると、その緊張感が生を輝かせていると感じられてなりませんでした。
「倫理」ではなく「美」を求めて生きたい、そう思いました。

「ことばのポトラック」は当初の予定である10年継続を達成し、ひとまずここで役目を終えますが、「ことば」を必要としたらいつでも集まれる自由さを確保しておきたいと思います。 (大竹昭子)
※写真:左からゲスト:佐藤研吾さん、林剛平さん、野内彦太郎さん(以上歓藍社のみなさん)ホスト:大竹昭子、堀江敏幸

2023年3月11日土曜日

宮沢章夫さんを偲んで

昨年(2022年)9月12日に宮沢章夫さんが亡くなられました。
 訃報に接したとき、大変に驚きました。まだ60代でいらっしゃいましたから、まったく思い掛けないことでした。
 宮沢さんとは2015年から2年間、朝日新聞の書評委員会でご一緒しました。独特のユーモアと突拍子もない笑い声の持ち主で、すっかり親しみを抱いてぜひ「ことばのポトラック」に出てくださいとお願いしたのです。
 二つ返事でOKしてくださり、当日は喫茶店にでも入ってくるような調子でぶらっとお見えになりました。2016年5月29日のことです。
 順番がくると、自分は考えたことをいつもiPhoneにメモしているので、そうやって書いたものを読みますとおっしゃり、iPhoneを片手に画面を見ながら読みはじめたのです。
 あたり前の声でしゃべりたい、ふつうの声で話したい、いい声である必要はない、いい声とはなんなのか? 
 声を張ったり、演出したりせず、ふだんの声のまま、つぶやくようにおこなう朗読はかえってインパクトがありました。声と行為と語りの内容が見事に一致していて、彼が言葉というものをどういうレベルでとらえているかがよくわかったのです。
 この映像を見ていると、破顔のあとに一拍おいて放つ彼の笑い声がよみがえってきます。ご縁に感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。(大竹昭子)


※「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」
 ダイジェスト映像より抜粋【2016年5月29日(日)】
 https://youtu.be/j8ngs2hwrzw

※当日のレポートはこちらから
 ▶︎第13回「ことばのポトラック」のご報告です!
 http://katarikoko.blog40.fc2.com/blog-entry-835.html
 ▶︎「ことばのポトラック vol.13 - まぶたを開いて夢をみる」を終えて
 http://kotobanopotoluck.blogspot.com/2016/06/2016529-vol13.html